31.はじめに2.最近の高温化現象図2 旬別最高温度(静岡市)㈱サンファーマーズ 技術顧問 石戸 安伸3.高冷地でも高温化4.遮熱材「Qヒート」 アメーラトマトを周年生産しているサンファーマーズでは、夏の高温対策として軽井沢や富士宮市など標高の高い高冷地での生産を早くから実施しており、静岡県の小山町での栽培も2016年からスタートしております。 小山町の農場は標高480mで栽培当初は特に問題はなかったのですが、近年の猛暑で平地と変わらない暑さが続くようになり、昨年の「園芸情報」でも紹介されていました遮熱材を試してみました。 現在、国内の施設園芸農家の皆さんも高温対策については各種取り組まれていますが、その中で比較的安価に対応できる遮熱材の導入が多くなっているようです。 国内で遮熱材として取り扱われているのは、①Qヒート、②レディヒート、③トランスパーなどがあるようですが、いずれもオランダで開発された資材で、光合成に必要な光を透過させ、熱源となる近赤外線を反射させる性質のものです。小山町の農場では「Qヒート」を取り入れてみました。 遮熱材「Qヒート」は、オランダのヘルマデイック社の製品(図3)で使用量に応じて遮熱効果が変わります。表1を参考に10aあたり3缶を使用することにして、実際のハウス面積は20a/棟ですので6缶を270リットルの水で希釈(合計で360リットル)し、動噴と噴霧ノズルを用いて5月17日に塗布をしました。塗布作業については、 近年の地球温暖化の影響が特に夏季の高温化現象に繋がっており、各種農作物の生育への影響が厳しいものになっています。これを受け昨年のこの園芸情報においては、特集記事「施設園芸における高温対策」が掲載されました。その中で紹介されていました遮熱材について、㈱サンファーマーズで試験を行いましたので、その技術情報を紹介します。 温暖化の影響ですが、これを静岡気象台の温度データで比較してみますと、過去30年間の平均である平年値の年間平均温度は16.9℃でしたが、2023年は18.3℃、2024年は18.7℃と、年々高くなっていることが分かります。これを夏季(7月から9月)の3か月平均でみると、平年値は26.0℃でしたが、2023年は28.0℃、2024年は28.6℃とますます高くなっていました。(図1)図1 旬別平均温度(静岡市) これを図2の最高温度で比較してみると、グラフが異常に高くなっている時期があります。6月下旬から9月下旬ですが、2023年も2024年も35℃以上と猛暑日続きとなっており、特に2024年は40℃の過去最高温度も記録し、作物だけでなく日常生活にも支障をきたすような異常な高温となっています。今後さらに温度が上昇することも懸念されます。遮熱材「Qヒート」について
元のページ ../index.html#3